大腸がんの治療で行われる手術

大腸がんは、早期に発見できれば手術によって完治できる可能性が十分にある病気です。手術では再発・転移を防止するため、病巣と一緒に近くのリンパ節も取り除きます。

大腸がんの手術方法は、結腸か直腸かによって違います。肛門から離れた結腸の場合は、開腹して行なうことが一般的ですが、肛門に近い直腸の場合は肛門からメスを入れて腫瘍を切除することもあります。

また、最近では開腹せずに腫瘍を切除できる「腹腔鏡手術」も広まってきており、特に結腸がんの治療で行なうケースが増えています。ここでは、そんな大腸がんの治療で行なわれる手術についてご紹介していきましょう。

大腸がんの手術は、リンパ節郭清が基本

大腸がんの手術では、「病巣のある腸管の切除+リンパ節郭清」が行なわれます。

リンパ節は、全身のリンパ管にある小さな豆のような形の組織で、細菌などの異物が体内に入ってきた時にブロックする「関所」のような役割をしています。

ただしリンパ管は全身に張り巡らされているため、血管と同様、がんになった時はそこからがん細胞が広がってしまう危険性もあるところです。

大腸がんの転移ルートは、主にリンパ節と静脈ですので、手術の際は病巣と一緒に、近くのリンパ節も郭清(切除)します。

これで、万が一リンパ節にがん細胞が入り込んでいたとしても、それ以上広がらないようにすることができるのです。リンパ節をどの程度まで郭清するかは、発見時のステージなどに応じて決定します。

比較的安全な「結腸がん」の手術

大腸がんは、肛門に近い直腸がんと、肛門から離れた結腸がんの2種類に分かれます。このうち結腸がんは、血便などの症状が出にくいのですが、一方で手術しやすい点がメリットです。

基本は開腹手術で、病巣の近くを15〜20センチほど切開します。そして病巣を中心として、両側10センチほど(計約20センチ)を切除し、隣接するリンパ節も取り出した後、残った腸管の端と端を縫合します。

手術時間はおよそ2〜3時間です。

大腸を切るというと恐ろしいイメージがありますが、腸は短くなるものの、しっかりと縫合されれば消化には問題ありませんし、大腸のリンパ節は一部郭清してもほとんど問題はないとされています。

比較的シンプルかつ安全な手術だといえるでしょう。

「直腸がん」の手術は難易度が高い

肛門近くにできる直腸がんは、症状が出やすい反面、手術は難しいがんです。まず、肛門に近いため、肛門を温存できるかどうかが大きなポイントになります。

また、近くに前立腺や子宮、膀胱などの臓器があるほか、自律神経も多く集まっているため、それらを傷つけないようにする必要があります。ですから結腸に比べると、格段に難易度の高い手術です。

手術の方法としては、主に以下の4つがあります。

経肛門的直腸切除術

開腹ではなく、「開肛器」という器具で肛門を押し広げて、そこからメスを入れる術式です。肛門から5センチ以内の場所にできた早期のがんを対象に行なわれています。この手術では、リンパ節郭清は行ないません。

経仙骨的直腸切除術

肛門のやや奥にあるがんで行なわれることのある術式です。うつぶせになって仙骨の横を切開し、骨盤内にメスを入れて直腸を切除した後、S字結腸と肛門管を繋ぎ合わせます。

この術式では、直腸まわりのリンパ節もある程度取り除くことができますが、最近では内視鏡治療が進んでいるため、あまり行なわれていません。

前方切除術

お腹にメスを入れる術式です。肛門側は病巣から約2〜3センチ、結腸側は10センチほど切り離し、残った部位を繋ぎ合わせます。

以前まではこの縫合が難しく、肛門括約筋を温存できないケースも多かったのですが、最近では「自動吻合器」という器具が使われるようになり、人工肛門にせずに済むケースが増えています。

直腸切断術

肛門のすぐ近くにある、もしくはかなり進行している直腸がんの場合は、直腸と肛門を一緒に切除する「直腸切断術」が行なわれることもあります。

この場合、自然な排便はできなくなりますので、人工肛門(ストーマ)を作る手術も同時に実施されます。

人工肛門とは、お腹に小さな穴を開け、そこから結腸の一部を出して肛門の代わりにするものです。専用のパウチ(袋)を装着し、そこに便を溜めます。

慣れないうちは便が漏れるなどのトラブルが起こりやすいため、困ったことがある時は病院の「ストーマ外来」を利用します。

体の負担が少ない、大腸がんの「腹腔鏡手術」

腹腔鏡手術は、お腹に数ヵ所の小さな穴を開け、そこから手術器具や内視鏡を入れて行なう手術です。開腹するより傷が目立たず、身体の負担も少なく済みます。

大腸がんでは、主に結腸がんの手術に採用されるケースが増えています。がんが粘膜〜粘膜下層までにとどまっている、早期の結腸がんが対象です。

開腹手術と同様、腸管とリンパ節を一緒に切除できますが、医師の腕によるところがまだまだ大きい術式ですので、信頼できる医療機関で受けることが大切です。

直腸がんの腹腔鏡手術もゼロではありませんが、まだ一般的ではないといわれています。

大腸がん手術後の合併症と後遺症

大腸がんの手術後は、合併症に注意する必要があります。代表的な合併症としては、腸の癒着による腸閉塞や、縫合不全、傷口からの感染症などです。

多くは入院期間中に起こりますので、しっかりと経過観察を行なうことで危険な状態は回避できますが、状態によってはまれに再手術になることもあります。

手術による後遺症としては、排便障害や排尿障害、性機能障害などが代表的で、これらのリスクがあるのは主に直腸がんの手術です。

直腸の周りには、神経や泌尿器、生殖器などが集まっているため、直腸の手術によってこれらに影響が出てしまうことがあります。事前に医師からしっかりと説明を受け、納得した上で手術に臨みましょう。

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