大腸がんを含む大腸の病気

大腸の病気というと、もっともインパクトが強いのは大腸がんですが、他にも複数の病気が存在します。軽度のものから命に関わるものまで、危険度はさまざまです。

大腸の病気は、多くが便通異常や下血、血便などをともないますので、症状だけで大腸がんか他の病気かを区別することは容易ではありません。原因を特定するためには、消化器科などでしっかりと検査を受ける必要があります。

ここでは、大腸がんを含む大腸の病気についてご紹介していきます。それぞれの特徴をまとめていますので、セルフチェックに役立てた上で、確定のためには必ず病院を受診するようにしてください。

大腸の悪性腫瘍、「大腸がん」

大腸にできる悪性腫瘍で、放置すると命の危険に及びます。日本人にはもともと少ないがんでしたが、戦後増え続け、2015年の統計予測では、ついに胃がんと肺がんを抜いて罹患率第1位になると予測されています。

ちなみに死亡率も胃がんを抜き、肺がんに次ぐ第2位になることが予測されているほど、日本人にとって身近になっているがんです。

リスク要因としては、今のところ「高脂肪・低食物繊維」の欧米型の食事や、肥満、飲酒、喫煙などが挙げられています。また遺伝性のものも一定数あることが分かっています。

初期症状は少なく、あったとしても貧血や下痢・便秘など、健康な人でも起こりやすいものばかりです。早期発見のためには、40歳から年に1度の定期検診を受けることが推奨されています。

ちなみに大腸がんは進行が比較的ゆるやかなため、発見さえ遅れなければ、完治できる可能性は高いがんです。治療法としては、病巣の摘出手術や抗がん剤、放射線療法などがあります。

大腸にできる良性腫瘍、「大腸ポリープ」

大腸にできる良性の腫瘍です。粘膜の一部がイボ状に隆起したもので、現段階では悪性と見なされないものを指します。

ポリープが小さいうちは無症状ですが、大きくなると血便が出やすくなります。

また、大腸ポリープの中には、一部、将来的に悪性化する可能性があるタイプもあるため、1センチを越えると要警戒となり、必要に応じて内視鏡治療で摘出する必要があります。

特に、若いころから大腸に100個以上のポリープができる「家族性大腸腺腫症(ポリポーシス)」という状態の人は、将来的にほぼ確実に大腸がんを発症することが分かっていますので、大腸粘膜の全摘出を行ないます。

大腸に原因不明の炎症が起きる「潰瘍性大腸炎」

大腸の粘膜に潰瘍やびらんができる病気です。厚生労働省の指定する「特定疾患」の一つに数えられています。

中高年層のほか、20代など若い年齢での発症が多く、原因は不明です。家族内での発症が一定数見られることから、何らかの遺伝子異常が関わっているのではないかといわれますが、まだ確実な原因は明らかになっていません。

ちなみに大腸がんと異なり、喫煙者の罹患率が低いというデータが出ています。

症状は下痢や腹痛、下血などが典型的で、大腸がんにも似ています。肛門に近い直腸のほうから、徐々に奥のほうへと広がる性質があり、広範囲なケースでは大腸全体に炎症が広がります。

治療は、炎症を抑える薬物療法が中心ですが、重症の場合は手術が行なわれることもあります。

また、潰瘍性大腸炎から大腸がんへと移行するケースも一部あることが分かっていますので、定期的に大腸内視鏡検査を受けることが推奨されています。

大腸や小腸に炎症が起きる「クローン病」

大腸や小腸の粘膜に、原因不明の炎症や潰瘍ができる病気です。潰瘍性大腸炎と似ており、合わせて「炎症性腸疾患」といわれています。

クローン病は大腸のみならず、消化管ならどこにでも発生する可能性がありますが、特に多いのは大腸と小腸で、中でも小腸の末端部(大腸とのつなぎ目)が好発部位です。

潰瘍性大腸炎と同様、若年での発症が多く、10〜20代に好発します。男性のほうが女性の2倍罹患しやすいことも分かっています。

症状は下痢や血便、腹痛、体重減少、貧血などで、いずれも大腸がんに似た症状です。また腸管や腸管外の合併症も多く、人によってさまざまな症状が出てきます。

治療は薬物療法が中心ですが、腸閉塞や穿孔などの合併症を起こしている場合は手術が必要です。

自律神経の乱れからくる「過敏性腸症候群」

器質的な異常がないにも関わらず、便秘や下痢、腹痛などの症状が現れる病気です。症状としては大腸がんや炎症性疾患に似ているため、まずはしっかりと検査を受け、他の病気の可能性が排除された時点で診断を受けます。

腸そのものに異常は見られないため、原因としては主にストレスや自律神経の乱れが挙げられています。「緊張するとお腹が痛くなる」ことが誰にでもあるように、精神状態と腸には密接な関係があるものです。

また不規則な生活や暴飲暴食など、自律神経の乱れにつながる生活習慣も一因と考えられています。

治療は薬物療法が中心で、症状を抑えるための薬のほか、患者さんによっては抗うつ薬や向精神薬なども使用されます。また人によっては、カウンセリングなどの精神療法も効果を挙げる場合があります。

病名ごとの主な症状・原因・治療法まとめ
病名 症状 原因 治療
大腸がん 貧血・血便・便秘・下痢・便が細くなるなど 高脂肪食・飲酒・喫煙・遺伝・肥満など 外科手術・抗がん剤・放射線療法など
大腸ポリープ 大きくなると血便 高脂肪低食物繊維の食事・遺伝 経過観察・内視鏡治療・外科手術など
潰瘍性大腸炎 下痢・腹痛・下血など 不明 薬物療法・外科手術
クローン病 下痢・血便・腹痛・貧血など 不明 薬物療法・外科手術
過敏性腸症候群 下痢・便秘・腹痛など ストレス・自律神経の乱れ 薬物療法・カウンセリングなど

このように、大腸には大腸がん以外にもさまざまな病気があります。症状が似ているため、自己判断は危険ですので、気になる症状がある場合は検査を受けるようにしてください。

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