大腸がんステージ別治療法まとめ

大腸がんにかかった時、どんな治療法を選択できるかは、発見時のステージによって異なります。一般的にV期までの大腸がんであれば、手術が主体です。

ただし同じステージであっても、患者さん1人ひとりの状態によって、行なえる治療は変わってきます。

たとえば同じ「ステージT」でも、ある人は内視鏡治療、ある人は外科手術になりますし、同じ「ステージW」でも、緩和ケアが主体になる人と手術できる人が存在するのです。

ここでは、大腸がんのステージ別の治療法を分かりやすくまとめましたので、参考にしてみてください。

ステージ0の治療は「内視鏡治療」が基本!

大腸がんの中でも、もっとも早期である0期は、ほとんどが内視鏡治療の対象となります。

0期とは、がんが腸壁のもっとも外側の「粘膜」にとどまった段階です。「上皮内新生物」とも呼ばれ、一般的ながんを意味する「悪性新生物」とは区別されることもあります。

大腸がんでは、粘膜までにとどまっていて、かつ「腫瘍の直径が2センチ未満」であれば、内視鏡治療の対象になります。内視鏡治療には以下のような種類があり、腫瘍のサイズや状態などによって適切な治療法が選択されます。

ポリペクトミー

腫瘍の根元にスネアという金属の輪をひっかけ、そこに高周波電流を流して焼灼切除する治療法です。主に隆起した病変に行なわれます。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

腫瘍の下から、注射針で生理食塩水などを注入して病巣を盛り上がらせてから、ポリペクトミーを行なう方法です。隆起していない平らな病変に対してよく行なわれます。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

病変の周りにヒアルロン酸ナトリウム溶液などを注入して病変を浮き上がらせた後、専用のナイフで周りを切開する治療法です。主にEMRでは一度に切除できない、サイズの大きな腫瘍に対して行なわれます。

ステージTの治療は、「内視鏡」と「手術」の2種類

腸壁の粘膜下層にまで浸潤している「ステージT」は、ステージ0と比べると進行していますが、まだまだ早期であり、適切に治療すればほぼ完治できる状態です。

ステージTの場合、粘膜下層のどこまで浸潤しているかによって「内視鏡治療」と「手術」のどちらかが選択されます。内視鏡治療の対象になるのは「軽度浸潤」といって、粘膜下層の浅い位置までにとどまっているケースです。

さらに「腫瘍の最大径が2センチ未満」であることも条件となります(医療機関によっては2センチ以上も対象になることがあります)。

一方、「深部浸潤」といって、粘膜下層の深いところまで進んでいる場合は、確実に病巣を取り除くために、手術が選択されます。開腹手術と腹腔鏡手術の2種類があり、腫瘍のできた部位や進行度、また患者さんの体型なども参考にして決定します。

腹腔鏡手術は、一般的には直腸がんではなく結腸がんで、肥満体型でない患者さんが対象です。

ステージUの治療は、「手術のみ」が基本

ステージUは、がんが粘膜下層を越えて、固有筋層以上にまで達している段階です。固有筋層には血管やリンパが多く通っているため、ここに浸潤しているがんは内視鏡治療ではなく手術の適応となります。

手術では、腫瘍のできた腸管と一緒に、周りのリンパ節も一緒に切除します。ステージUの場合、手術で完全に病巣を取り除くことができれば、それで治療はひとまず終了です。

ただし一部のケースでは、術後に化学療法を行なう場合もあります。基本的に術後化学療法が積極的に行なわれるのはステージVの大腸がんであり、ステージUでは実施してもしなくても生存率に大きな差はありません。

しかし切除した組織を生検にかけた結果、悪性度が非常に高かったなど、再発リスクが高いと思われる症例については、術後化学療法が行なわれる場合もあります。

ステージVの大腸がんの治療は、「手術+化学療法」

ステージVは、リンパ節転移の認められる段階ですので、手術で腫瘍とリンパ節を切除することが治療の基本となります。

さらにステージVでは、再発を予防する目的で術後化学療法が行なわれることが一般的です。

手術で病巣とリンパ節を適切に切除できたとしても、目に見えない微細ながん細胞がさらに先のリンパ節に進んでしまっている可能性がゼロではないため、これを叩くために抗がん剤を活用します。

結腸がん・直腸がん共に、ステージVであれば術後に実施されることが一般的です。ただし副作用の問題がありますので、患者さんの体力や主要臓器の機能なども考慮に入れる必要があります。

実施される化学療法としては、「5-FU+LV 療法(オキサリプラチン・ロイコボリン)」 や「UFT+LV 療法(テガフール,ウラシル・ロイコボリン)」、「FOLFOX4療法(フルオロウラシル・フォリン酸・オキサリプラチン)」などが代表的です。

最長6ヶ月まで、点滴静注で投与されます。

催吐性の高い抗がん剤を使う場合は、必要に応じて事前に制吐剤を使うなど、なるべく患者さんの苦痛が少なくなるように配慮して行なわれます。

ステージWの大腸がんの治療は、個人差が大きい

遠隔転移の認められるステージWの治療法は画一的ではなく、人それぞれです。

どのがんもそうですが、基本的にW期になると完治を目指すのは難しく、対症療法や緩和ケアが中心となります。腫瘍を少しでも小さくするための化学療法や放射線療法、痛みを和らげるモルヒネの投与などが主体です。

ただしステージWでも、手術の適応となるケースがあります。1つは「原発巣・転移巣ともに切除可能な場合」です。

たとえば肝臓や肺などの転移病巣がまだ小さく、数も少ない場合などは、原発巣とともに切除することで根治が期待できることもあります。実際、ステージWの大腸がんから見事に生還した人も少なくありません。

もう1つは「転移病巣は切除できないけれど、原発巣は切除可能」なケースです。

特に原発巣による貧血や便通異常などの症状が強い場合は、緩和するために原発巣を切除することがあります。こちらは根治目的ではなく、対症療法としての手術です。

また、死に対する恐怖や不安などを少しでも和らげるための、精神的な緩和ケアも非常に重要な意味を持ちます。

がんの緩和ケアは患者さんの家族も対象ですので、つらい時は遠慮なく病院の緩和ケア外来などを利用することが大切です。

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