大腸がんのステージ分類と生存率

がんの分類で、「ステージT」「ステージW」という言葉を聞いたことのある方も多いと思います。

ステージ(病期)は、がんがどの程度進行しているのかを表す指標の一つで、大腸がんにも、他のがんと同じく0〜Wまでのステージがあります。0はごく早期、Wは遠隔転移している末期がんです。

発見時のステージによって、生存率も変わってきます。がんでは「5年生存率」といって、初回治療時から5年後の時点で生存している人の割合を示した数字がよく使われています。

大腸がんの生存率は、がん全体の中では決して低くありませんが、ステージが進行すればするほど低くなってしまいます。

大腸がんのステージはどのように決まるのか、またステージごとの実際の生存率についてもご紹介していきましょう。

大腸がんのステージは、3つの項目で決まる

大腸がんのステージ分類には、いくつかの方法があります。日本国内では「大腸癌取扱い規約分類」という方法がよく使われていますが、国際的な「TNM分類」や、昔からある「デュークス分類」などの方法もあります。

いずれにせよ、多くの分類では「がんが大腸の腸壁のどれぐらい深くまで進行しているか(壁深達度)」と、「リンパ節にどの程度転移しているか」、また「他の臓器に転移しているかどうか」によってステージを決めています。

CTやMRIなどの画像検査や、生検の結果などを総合的に考慮してステージを決定し、それをもとに治療法を検討するのです。

ここでは、国内で最も広く活用されている「大腸癌取扱い規約分類」についてご紹介します。

壁深達度

大腸がんのステージを決める上で非常に重要になるのが、「がんが腸壁のどこまで進んでいるか」ということです。大腸がんは腸壁のもっとも内側、つまり便に触れる側から発生して、時間の経過とともにどんどん外側に広がっていきます。

外に広がれば広がるほど、血管やリンパ、他の臓器などに浸潤していきますから、それだけ予後は悪くなります。

腸壁は、内側から「粘膜・粘膜下層・固有筋層・漿膜下層・漿膜」の順に層をなしており、漿膜の外には他の臓器があります。このうち、どこまでがんが広がっているかによって、以下の6つの壁深達度を判定します。

壁深達度によるがん判定
分類 深達度
Mがん がんが粘膜内にとどまっており、粘膜下層に及んでいない
SMがん がんが粘膜下層にとどまっており、固有筋層に及んでいない
MPがん がんが固有筋層にとどまっており、これを越えていない
SSがん がんが固有筋層を越えているが、漿膜下層までにとどまっている
SEがん がんが漿膜の表面に露出している
Siがん がんが他の臓器に直接浸潤している

6段階の壁深達度のうち、内視鏡治療ができるのはMがんとSMがんです。中でも、粘膜内にとどまるMがんは0期といって、もっとも早期のステージにあたり、「上皮内新生物」として通常のがんとは区別されることもあります。

リンパ節転移の状況

リンパ節転移の有無も、ステージを決める上で大切な要素になります。リンパは血管と同じく、全身に張りめぐらされた管で、ここにがん細胞が入り込むと遠く離れたリンパにまで転移してしまう可能性があるからです。

リンパ節は、リンパ管の途中にいくつもある豆のような形の組織で、ここにがんが入っているかどうかを調べることで、がん全体の広がり具合が推測できます。

リンパ節に転移している場合、その数やリンパ節の場所なども重要な情報です。

病巣のすぐ近くの「腸管傍リンパ節」だけに転移しているのか、さらにその先の「中間リンパ節」や「主リンパ節」「側方リンパ節」にまで転移しているのかによって、ステージも異なってきます。

リンパ節転移によるがん判定
分類 リンパ節転移の程度
N0 リンパ節転移なし
N1 腸管傍リンパ節・中間リンパ節に計3個以内の転移
N2 腸管傍リンパ節・中間リンパ節に計4個以上の転移
N3 主リンパ節・側方リンパ節に転移が見られる

遠隔転移の有無

肝臓や肺、脳などの大腸から離れた臓器に転移しているかどうかを示すものです。これはシンプルに、「転移があるかないか」だけで分類されます。

遠隔転移によるがん判定
分類 遠隔転移の有無
M0 遠隔転移なし
M1 遠隔転移あり

遠隔転移は、しているだけでステージWが決定してしまうほど、治療の難しい状態です。

上記の3項目を合わせて、大腸がんのステージは以下のように分類されます。

大腸がんのステージ判定
N0 N1 N2・N3 M1
M -
SM T Va Vb W
MP
SS U
SE
Si

大腸がんのステージ別の生存率

がんの予後を表す数値として、よく「5年生存率」が使われます。これは、初回の治療を受けた時から数えて5年後の時点で生存している患者さんの割合を示した数値です。

がんは、一般的に「治療から5年たって再発しなければ、ひとまず完治」といわれるため、5年生存率はそのまま「完治できる割合」を示す数値としても活用されています。

5年生存率は、治療を行なう医療機関によっても数値が異なりますが、「大腸癌研究会」が一般向けの治療ガイドラインの中で、以下のような生存率を発表しています。

大腸がんのステージ別5年生存率(一般向けの治療ガイドライン)
ステージ 5年生存率
T 91%
U 81%
V 結腸がん 69%
直腸がん 58%
W 13%

(大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドラインの解説」より)

また、「全国がん(成人病)センター協議会」の統計では、以下のような数値です。

大腸がんのステージ別5年生存率
ステージ 5年生存率
T 98.7%
U 85.3%
V 76.2%
W 15.0%

(全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率2001-2003年症例より)

このように、発表する機関によって多少の差はありますが、T期の生存率が非常に高い一方、W期になると10%台と一気に低くなる点が大腸がんの特徴といえます。

いかにして早期発見・早期治療ができるかが、大腸がんの予後を大きく左右することになるのです。

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