大腸がん「ステージ4」の治療法と生存率

全体的に予後のいいといわれる大腸がんですが、遠隔転移の見られるステージWになると、一気に5年生存率は10%台に下がり、治療の選択肢も限られてしまいます。

基本的に手術の適応となるのはステージVまでですので、Wになると症状を和らげるための放射線療法や、少しでも腫瘍を小さくして生存期間を延長するための化学療法、もしくはモルヒネなどの緩和療法が中心です。

ただし遠隔転移している場合でも、状態によっては手術の対象になることもあります。ここでは、ステージWの大腸がんに行なわれる治療法の数々をご紹介していきましょう。

ステージWの大腸がんの治療は、人それぞれ

大腸がんのステージWは、遠隔転移していますので、基本的に手術は難しい状態です。既に病巣があちこちに散らばった状態のため、どれか1ヵ所を切除できたとしても、予後が大きく改善する可能性は高くありません。

ただし原発巣(大腸にあるもともとの病巣)と、遠隔転移した病巣のどちらも切除が可能であると判断された場合は、根治を目的とした手術が行なわれることもあります。

実際、ステージWの大腸がんでも、この方法で完治できた患者さんもいるのです。

また、原発巣からの出血による貧血や、腫瘍の圧迫による便通異常などの症状がある人で、原発巣を切除できる場合は、対症療法としての手術が実施されることもあります。

ステージWの治療法を決めるフローチャート

一方、「転移先の病巣は切除可能だが、原発巣は切除不能」という場合は、手術以外の治療法を検討します。これは転移先の病巣を切除することによって得られる治療効果が少ないためです。

このように、ステージWの大腸がんの治療法は、個々の状態によってさまざまであるといえます。

遠隔転移した病巣はどうやって治療する?

大腸がんの転移病巣の治療法は、「どの部位にどのように転移しているか」によって異なります。

肝転移の治療方針

肝臓は、大腸がんを含めさまざまながんが転移しやすい臓器です。肝臓は生命活動に直結する重要な臓器ですので、条件が整っていれば手術の適応となることがあります。

肝切除のできる条件としては、治療ガイドラインでは以下のように定義されています。

肝切除のできる条件

  • 1.患者さんが手術に耐えられること。
  • 2.原発巣のコントロールが可能であること。
  • 3.肝臓の病巣をすべて切除できること。
  • 4.肝外転移がない、もしくはコントロール可能であること。
  • 5.肝機能が十分に残っていること。

以上の条件を満たせば、肝切除の適応となります。

一方、切除不能ではあるけれども全身状態が一定以上に保たれている場合は、通常の化学療法に加えて「肝動注療法」という、肝臓に直接抗がん剤を届ける治療法が行なわれることもあります。

肺転移の治療方針

肺も、大腸がんが転移しやすい臓器です。肺の病巣に対する積極的な治療法としては、肺切除があります。

肺切除の対象になるのは、肝臓の場合と大体同じです。体力や残存機能が十分あり、原発巣が制御可能であることなどが条件となります。

切除が難しくても全身状態が良好な場合は、化学療法もしくは放射線療法が行なわれることもあります。

脳転移の治療方針

脳転移の治療法は、手術もしくは放射線療法の二択です。

脳切除の条件としては、「数ヶ月以上の生命予後があること」「切除によって重大な神経症状をきたさないこと」「他の臓器への転移がない、もしくはコントロール可能であること」が挙げられています。

脳への放射線療法は、病巣の数によって全脳照射もしくは定位放射線照射が選択されます。

ステージWの大腸がんの化学療法

ステージWの大腸がんでは、少しでも腫瘍を縮小させて生存期間を長くする目的で、化学療法が行なわれる場合もあります。

切除不能の大腸がんの平均余命を調査した結果、化学療法を行なわない例では約8ヶ月のところ、化学療法を行なった例では平均約2年との報告もあることから、一定以上の効果は期待できると考えられます。

ただし副作用の問題もありますので、実際に行なうかどうかは患者さんの年齢や体力、本人の希望などにもよります。

行なわれる化学療法としては、以下のようなものが代表的です。

化学療法の一覧

  • FOLFOX療法(フルオロウラシル・フォリン酸・オキサリプラチン)
  • FOLFIRI療法(フルオロウラシル・ロイコボリンかレボホリナート・イリノテカン)
  • 5-FU+LV療法(フルオロウラシル+ロイコボリン)
  • UFT+LV 療法(テガフール,ウラシル+ロイコボリン)

一次治療として、上記のような抗がん剤の投与が行なわれた後、薬の効き目などを考慮しながら二次治療以降に使う薬剤を検討していきます。

ステージWの大腸がんの放射線療法

ステージWの大腸がんでは、緩和的に放射線療法を行なう場合もあります。

ステージWでの放射線療法は、原発巣を根治するためではなく、転移病巣や骨盤内の腫瘍を小さくすることで、つらい症状を和らげることが主な目的です。

たとえば骨盤内腫瘍に照射して出血や便通障害などを緩和したり、骨や脳に照射してつらい痛みを和らげたりする効果が期待できます。

ステージWの大腸がんに行なわれる、その他の緩和ケア

ステージWの末期がんになると、積極的な治療はせず、症状を緩和させながら最期まで自分らしく過ごすことを目的とした「緩和ケア」が主体になる場合もあります。

上述した放射線療法や化学療法もその一つですが、他にも痛みを和らげるための鎮痛剤の投与(モルヒネなど)や、カウンセリングをはじめとする精神的なケアも重要になります。

緩和ケアは、患者さんの家族も対象です。がん拠点病院には緩和ケア病棟があり、患者さん本人や家族の苦痛を和らげるためにチームを組んで対応にあたっていますので、ぜひ遠慮なく頼りましょう。

このように、W期の大腸がんでは状態によってさまざまな治療の選択肢があります。全身状態や年齢、患者さん自身の希望などを総合的に考慮した上で、本人や家族がもっとも納得できる方法を選ぶことが大切です。

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