大腸がんの腫瘍マーカーまとめ

腫瘍マーカーは、がんの血液検査の一種です。がんになると、血中に特定のタンパクや酵素が増えるため、それらの数値を測定することでがんのリスクを判定できます。

腫瘍マーカーは現在50種類以上見つかっており、大腸がんにもいくつかの腫瘍マーカーがあります。

血液を採取するだけで済む、非常に手軽で便利な検査ですが、残念ながら多くの腫瘍マーカーはがんが進行しないと陽性になりにくく、早期のがんでは反応しないことも少なくありません。

大腸がんも、腫瘍マーカーだけで早期発見することは難しいとされています。

ただし治療後の効果をみたり、再発リスクを判定したりするためには有効です。大腸がんにはどんな腫瘍マーカーがあるのか、どのように活用するのが効果的なのかについてまとめてみました。

大腸がんの腫瘍マーカーとは

腫瘍マーカーは、がんの種類によって異なります。体のどこにがんができたかによって、産生される物質が異なるからです。

大腸がんの場合は、主にCEAやCA19-9、p53抗体などの腫瘍マーカーが用いられています。これらの特徴についてご紹介しましょう。

CEA

「癌胎児性抗原」と呼ばれるタンパクです。本来は胎児の消化器の細胞にのみ存在するのですが、消化器系のがん細胞からも作り出されるため、この数値を測ることで胃がんや大腸がんのリスクを判定できます。

また肝臓がんや胆道がん、乳がんなどの腫瘍マーカーとしても用いられています。基準値は5.0ng/ml以下で、これを越えると異常値です。

ただし、CEAは対象となるがんが複数ある上、早期の陽性率は高くないことから、この腫瘍マーカーだけで大腸がんの診断をつけることはできません。

またがんでなくても、高齢や喫煙などによってCEAの数値が上がることもあります。

一般的には、基準値の2倍以上でがんの疑いが濃厚となり、4倍以上で転移の可能性があると判断されます。

CA19-9

CEAと同じく、消化器系のがんで数値の上がりやすい腫瘍マーカーで、大腸がんや胃がんのリスク判定に用いられていますが、すい臓がんと胆道がんの陽性率のほうが高いとされています。

他にも肝臓がんや肺がん、乳がん、卵巣がんなどでも高値を示すことがあるほか、糖尿病や慢性肝炎などでも陽性になることがあるため、CA19-9だけで何の病気かを判定するのは難しいのが現状です。

基準値は37U/ml以下(RIA法)で、特に2倍以上の高値の時は精密検査が勧められます。対象となる病気が多いため、他の腫瘍マーカーも合わせて行ない、総合的に判断する必要があります。

また大腸がんの場合、ステージ3以下では陰性になるケースも多く、スクリーニング検査として有用な腫瘍マーカーとしては扱われていません。

p53抗体

2007年に承認された、比較的新しい腫瘍マーカーです。細胞のがん化を防ぐ「がん抑制遺伝子」の一つであり、他の多くの腫瘍マーカーと違って、がんの発生初期から検出されやすい点が特徴となっています。

また、CEAは加齢や喫煙、CA19-9は肝炎や糖尿病などでも高値になりやすい一方、p53抗体はがんにほぼ特化した抗体のため、偽陽性率が低い点もメリットです。

陽性率は、T期でも30〜40%と、腫瘍マーカーの中でもかなり早期に反応しやすいといえます。

ただしp53抗体は大腸がんのみならず、食道がんや乳がん、子宮がんなどでも同じ程度の陽性率となりますので、この数値だけで大腸がんを早期発見することは困難です。

また、他の腫瘍マーカーと比べると陽性率は高いものの、全体の半数以上は陰性になってしまいますので、スクリーニング検査としてはやはり弱いといえるでしょう。

腫瘍マーカーでは大腸がんを早期発見できない?

このように、大腸がんを腫瘍マーカーだけで早期発見につなげるのは難しく、現段階では便潜血反応検査や大腸内視鏡検査などに取って代わるほどの有効性はありません。

スクリーニング検査としては、あくまで補助的に使われていることがほとんどです。

もともと、腫瘍マーカーだけで早期発見できるがんは全体的にも少なく、ポピュラーなところでは男性の前立腺がんの「PSA」が有名です。

PSAは「前立腺特異抗原」といって、前立腺の異常によって数値が上がるタンパクですので、まず他の箇所の病気の可能性を排除することができます。

また精度も高く、この検査が普及した欧米では前立腺がんの早期発見率が飛躍的に上がったほどです。

一方、大腸がんの腫瘍マーカーはいずれも大腸がんに特有のものではありませんし、精度も非常に高いとはいえません。

郵送検査のキットなどで、腫瘍マーカーのセットは販売されていますが、大腸がんを早期発見したい方は便潜血反応検査など他の方法も合わせて受けることを強くおすすめします。

大腸がんの腫瘍マーカーは、治療後に役立つ!

ただし、大腸がんにおいて腫瘍マーカーが何の役にも立っていないというわけではありません。

スクリーニング検査としては弱いものの、治療後に再発や転移のリスクを調べたり、治療効果を判定したりするためには大きく役立てられています。

たとえば大腸がんの手術後に腫瘍マーカーの数値を調べることで、がん細胞の取り残しがないかを判断することができますし、同じく抗がん剤や放射線療法の効果がどれくらいあったかの目安も得られます。

また、治療後も定期的にフォローアップ検診などで腫瘍マーカー検査を行ない、数値の推移を観察することで、再発・転移のリスクを調べることも可能です。

もしも数値の上昇が見られた場合は再発の可能性を疑い、より詳しい検査をします。

このように、大腸がんの腫瘍マーカーは早期発見のためではなく、主に治療後の効果判定や再発チェックのために役立てられています。治療後もしっかりと検診を受け、腫瘍マーカーの数値の推移を見ることが大切です。

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