大腸がんのリスクが上がる食生活

大腸がんはもともと日本人には少ないがんでしたが、戦後から増え続け、2015年にはついに胃がんと肺がんを追い抜いて部位別がんの罹患率第1位になることが予測されています。

ここまで急激に大腸がんが増えた背景として、よく指摘されているのは食生活の変化です。

和食中心だった日本人の食事が、一気に欧米化するにつれて、大腸がんも増加していることから、やはり何らかの影響があるのではないかと考えられます。

実際、特に過度の肉食が明らかに大腸がんリスクを高めるという研究結果が、国内外で発表されています。

大腸がんのリスクが上がる食生活とはどんなものなのか、逆にリスクを下げる食生活はあるのか、などについてご紹介していきます。

肉食は大腸がんのリスクを上げる?

食生活の欧米化といえば、真っ先に思いつくのが肉類の摂取です。農耕民族だった日本人は、古来より家畜を育てる習慣がなく、肉類を食べるようになったのは主に明治時代以降からといわれています。

それでもしばらくの間、庶民は相変わらず魚を多く食べていましたが、戦後の高度経済成長期に一気に一般家庭に肉食が普及し、ついに魚の摂取量を上回るようになりました。

魚から肉への移行と、大腸がんの増加は連動しているため、肉食は大腸がんの一因としてよく指摘されています。

国立がん研究センターの予防研究グループが行なった調査でも、肉類(特に牛と豚)の摂取が多い人ほど大腸がん(特に結腸がん)のリスクが高くなることが明らかになっています。

肉食が大腸がんを誘発するのは、脂肪を消化する際に、発がん性物質を含む「二次胆汁酸」が産生されることが一因です。

さらに食物繊維を含む食べ物の摂取が減ったことで、二次胆汁酸を含む便が長く腸内にとどまるようになり、より発がんを促すようになった、と考えられています。

また、日本人では明らかな因果関係が認められなかったのですが、海外ではハムやソーセージなどの加工肉が大腸がんの原因になるという研究結果が報告されています。

日本人の通常の摂取量では問題ないと思われますが、過剰摂取には気をつけるようにしましょう。

食物繊維の不足も、大腸がんの一因に!

欧米型の食生活としては、食物繊維の不足もよく取り上げられています。

昔ながらの和食では、豆類や根菜類など、食物繊維の豊富な食材がよく使われていました。しかし欧米型の食事が流入するとともに、それらの食材が減っていき、日本人は便秘しやすくなったといわれています。

もっとも、国立がん研究センターの予防研究グループの研究では、「食物繊維の摂取量が多いほど大腸がんリスクが下がる」というデータは得られませんでした。

ただし、食物繊維の摂取量がもっとも低いグループでは、他のグループよりも大腸がんリスクが高くなることが確認されています。つまり極端に食物繊維の摂取量が少ない人は、大腸がんにかかりやすい可能性があるのです。

一方、欧米の研究では「食物繊維をとる量が多い人ほど、大腸がんのリスクが低くなった」という研究結果が得られています。

このことから推察するに、日本人は普段の食事でも欧米と比べると食物繊維の摂取量は多く、少なくとも大腸がん予防に必要な分はとれているため、国内では有意な差が出なかったのではないかと考えられます。

ですから過剰に摂取する必要はありませんが、やはり一定以上の食物繊維はとったほうがいい、ということになりそうです。

お米は大腸がんリスクを上げるのか、下げるのか?

主食であるお米と大腸がんの関連性については、「リスクを下げる」という説と「リスクを上げる」という説の両方があり、決着がつかない状態となっていました。

食生活の変遷から見れば、日本人の米飯摂取量が少なくなると同時に大腸がんが増えているため、お米を食べたほうが大腸がんにかかりにくい印象を受けます。

しかし一方で、お米をよく食べる県ほど大腸がんで死亡する率が高いというデータもあり、矛盾した形となっていたのです。

国立がん研究センターの予防研究グループの調査では、結局、お米の摂取量と大腸がんリスクの間に、関連性はほとんど見られませんでした。

ただし男性の場合、お米の摂取量が多い人ほど直腸がんのリスクが高くなる傾向は見られたとのことです。

これはお米そのものが大腸がんの発生に働いたというよりは、高カロリーによる肥満や、糖尿病の悪化などが関係した可能性があると考えたほうがいいかもしれません。

ちなみにパンや麺類については、大腸がんと特に関連性は見られませんでした。お米は脳に必要なブドウ糖を含んでいますので、過剰摂取に気を付けた上で食べるようにすれば問題ないでしょう。

カルシウムとビタミンDが、大腸がんのリスクを下げる!

大腸がんのリスクを下げる栄養素として確認されているものに、カルシウムとビタミンDがあります。

国立がん研究センターの予防研究グループが行なった調査によると、カルシウムおよびビタミンD(カルシウムの吸収率を良くする栄養素)の摂取量がもっとも多い男性グループでは、他のグループに比べて大腸がんにかかるリスクが低いことが確認されました。

もっともカルシウムをとらないグループに比べ、40パーセント近くもリスクが低くなっていたのです。ただし、女性については特に関連性が見られませんでした。

逆にビタミンDの不足が、大腸がん、特に結腸がんのリスクを高めるという研究報告もあります。

ビタミンDは脂溶性ビタミンで、サーモンやサバ、イワシなどの油分の多い魚に多く含まれるほか、太陽を浴びることでも体内合成されます。

ビタミンDはカルシウムの吸収を助けて骨を丈夫にするほか、大腸がんの一因となる胆汁酸の解毒に関連しており、それが大腸がんのリスク軽減に役立っているのではないかと考えられています。

とはいえ、ビタミンDの過剰摂取は嘔吐や食欲不振につながりますし、カルシウムも、牛乳の飲みすぎは乳がんや前立腺がんなどのリスクを高めるとの報告もあります。

過剰摂取にならないよう、ほどほどに摂取することを心がけましょう。

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