可能性としてなくはない20代の大腸がん

大腸がんは40代から徐々に増え始め、発症のピークを迎えるのは60〜70代と、比較的シニア層に多い病気です。逆に30代以下での発症は少なく、かなりまれなケースになります。

特に20代の若さで大腸がんにかかることは非常に珍しく、大腸がん全体の1%にも満たない割合です。しかし毎年、およそ200名前後の人が20代で大腸がんに罹患しているため、「可能性としてなくはない」のも事実だといえます。

なぜ20代で大腸がんにかかる人がいるのか、20代だと進行が速いのか、などの気になる情報についてまとめてみました。

少ないけれど確かにある、20代の大腸がん

年々増え続けている日本人の大腸がん。2015年の統計予測では、年間およそ138,000人が罹患し、ついに胃がんと肺がんを追い抜いて部位別がんの第1位になることが予測されています。

このうち、20代の患者さんはどれぐらいいるのでしょうか。参考として2011年のデータを見ますと、1年間で大腸がんに罹患した日本人は124,921人となっています。

そのうちもっとも人数が多いのは60代と70代で、これらの世代だけで全体の57%を占めています。

一方、20代の罹患者数はわずか243人で、全体のおよそ0.2%という数字です。非常にまれなケースであるということが分かります。

過去の統計を見ますと、どの年も20代の罹患者数は大体200人前後と、同じような数字で推移しています。

たとえ全体から見ればわずかな割合だったとしても、「全国に年間、200人ぐらいは20代でも大腸がんになっている人がいる」ことは事実ですので、お腹の調子が良くない若い方は、心配になってしまうかもしれません。

20代の大腸がんは、遺伝的な要因が大きい

20代で大腸がんにかかる場合、考えられる理由は「遺伝的な体質」です。

中高年で発症する大腸がんの場合、多くは生活習慣の積み重ねに原因があると考えられますが、20代の場合はまだ長年の生活習慣が影響するような年頃ではありませんので、先天的な理由が大きいと考えられます。

中でも、大腸がんと関わりのあるのは以下のような体質です。

家族性大腸腺腫症(ポリポーシス)

APCというがん抑制遺伝子の先天的異常が原因で、若いころから大腸のあちこちに100個以上のポリープができる遺伝性疾患です。10歳ごろからポリープが発生し始め、年齢とともに数が増えていきます。

通常の大腸ポリープはほとんどが良性ですが、この疾患の場合は将来的に高頻度で大腸がんにつながることが分かっており、40歳で50%、60歳になるとほぼ100%の確率で発症するといわれています。

そのため、この疾患が見つかったら大腸がんをまだ発症しにくい20歳前に、予防的に結腸(必要に応じて直腸)を全摘することが一般的です。

症状としては、腹痛や下痢、血便などがありますが、表れ方には個人差があり、ほとんど自覚症状のない場合もあります。

お腹の不調が続く人はもちろん、症状がなくても近親者にこの病気の診断を受けた人がいる場合は、若くても念のため検査を受けるようにしましょう。

遺伝性非ポリポーシス大腸がん(リンチ症候群)

遺伝性ではあるけれども、ポリープのできないタイプです。発見者のリンチ博士の名前をとって、リンチ症候群とも呼ばれます。

この病気では大腸がんのほか、小腸がんや腎盂・尿管がん、卵巣がん、子宮体がんなどの比較的珍しいがんを発症しやすいことが分かっています。

これらのがんをわずらった人が、家系内に少なくとも3名いる場合は遺伝的な体質を受け継いでいる可能性があるため、ぜひ遺伝相談を実施している医療機関に相談してみてください。

リンチ症候群による大腸がんは、通常の大腸がんと比べ、50歳未満で発症するケースが多いといわれます。

潰瘍性大腸炎やクローン病

潰瘍性大腸炎とクローン病は、腸に原因不明の炎症が起きる病気で、「炎症性腸疾患」と呼ばれています。

どちらも大腸がんの発症リスクを高めることが分かっているため、これらの病気にかかっている人、過去にかかっていたことのある人は念のため注意が必要です。

ちなみに、潰瘍性大腸炎の好発年齢は20〜30代、クローン病の好発年齢も10〜20代と、どちらも若い世代に多い点が特徴となっています。

また原因不明ではありますが、家族内で発症するケースが一定の割合で見られるため、遺伝的な体質もあるのではないかといわれています。

20代での大腸がんの原因としては、上記のようなものが考えられますが、中には遺伝的な体質などに関係のないケースもあります。

若くても便通異常や下血などがある場合は、必ず消化器科を受診して調べてもらうことが大切です。

20代の大腸がんは、進行スピードが速い!?

一般的に「若い人ほどがんの進行が速い」といわれます。それは若い人の新陳代謝が活発で、細胞分裂のスピードも速いことが多いからです。

大腸がんは一般的に、がんの中では進行がゆるやかで、悪性度は低いほうだといわれています。

しかし新陳代謝の活発な20代の場合、通常はかなりの年数をかけて成長する腫瘍が、あっという間に大きくなってしまうことは十分に考えられます。

実際、まれなケースではありますが20代で進行大腸がんが見つかり、お医者さんもびっくりするケースがあるのです。

若く未来ある命を、大腸がんでなくさないようにするためにも、「家系的に大腸がんや大腸の病気の可能性が高いと思われる人は、早めに遺伝相談や検査を受ける」「血便や下血、便通異常などが続く場合は、年齢に関わりなく一度検査を受ける」ようにすることが大切です。

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